〈18〉認知症の母が姉の家へ——帰りの新幹線で私が誰だかわからない

介護日記

私の姉が、お盆休みに3泊4日で母ハム子さんを埼玉の姉の家に呼んでくれました。姉が兵庫までハム子さんを迎えにきてくれて、帰りは私が東京駅まで迎えに行きます。久しぶりに孫と遊び、楽しい時間を過ごしたハム子さん。

暑くても自分では脱がない——体温調節の難しさ

ハム子さんを迎えに行く日、東京駅で待ち合わせをしました。姉・妹・弟・私の4人姉弟が集まり、一緒に昼食をとる予定です。先に姉と姉の子供・ハム子さんが待ち合わせ場所に来ていました。

姉は、駅に着いた妹に電話で場所を説明中。ハム子さんを見ると、冷房対策で荷物に入れていた薄手のカーディガンを着て、ボタンをすべて留めています。顔には玉の汗が…。

お盆の東京駅はもちろん人が多く、空気がこもってムッとした暑さでした。Tシャツ1枚でも暑いのに、私より汗っかきのハム子さんが厚着しているとは…。とりあえずカーディガンを脱ぐように声かけし、ハム子さんの手提げバッグの中に入れました。

ところが、妹と弟も合流して昼食のお店に向かって歩く途中、ハム子さんを見るとまたカーディガンを着ています。さっき脱がせたのは夢かしら?再度脱がせたカーディガンは汗で湿っていましたが、今度は私のリュックに預かりました。

カーディガンをバッグに入れていると、荷物になるから着る→ボタンは留めるものだから、全部留める…という流れでしょうか。暑さ寒さは関係ないようです。

ハム子さんは普段から、ボタンやファスナーを開けたままでは過ごしません。前を開けておいたら、と言っても、いつの間にかきっちり閉めています。前を開けていた理由も、きっちり忘れているのでしょうね。

メニューは妹に決めてもらう——普段から決められない

お店に着いてから、それぞれ昼食のメニューを決めます。メニューを開いても、普段からハム子さんは
何にしたらいいかわからない
と、決められません。

写真付きでも決められないのに、このときのメニューは文字だけだったので余計にそうです。妹が隣で一緒に見てくれて、松花堂弁当に決めていました。ハム子さんに食べられないものは特にありませんが、食べたいものも浮かばないようです。

たまにスーパーでお弁当などを見ていても、
「どれがいいのかわからない」
「同じのでいいよ」
などと、見比べる前に言います。最近は、おいしそうだと思うものを選んで、と言って離れると頑張って選んでいます。

大抵は好きな魚のメニューを選んでいますが、カツ丼などガッツリ系を選ぶときもあるハム子さん。値段の安いものを選んで
「これでいいよ」
と言うときもあり、パターンは決まっていないようです。お腹の空き具合によるのでしょうか?だとしたら私達と同じ感覚ですね。

その日は久しぶりに姉弟が集まり、近況を話しながらの和やかな食事になりました。心なしかハム子さんは大人しく、口数も少ないよう。とはいえ、目の前にいる可愛い孫を見て、にこやかに過ごしていました。

帰りの新幹線で私を姉と間違える——一時的な混乱でおさまる

また集まろうと約束して、私とハム子さんは東京駅でみんなと別れました。帰りの新幹線の中。隣に座っていたハム子さんが改まって私に訊いてきました。
「あの、○○さんですか?」
姉のフルネームです。えーっと…あなたの次女のほっこりですが…。帽子とマスクのせいかもしれませんが、それは私の普段のスタイルです。
姉弟にグループチャットで伝えると、姉からは
似てるから、気にしないー♪時間が経てば日常に戻るよ」
とメッセージがありました。
そこは私も同感です。でも、今まで誰だかわからない人と新幹線に乗っていたんだ…という驚きがありました。長女か次女か、はたまた他人かもしれない、という訊き方でしたから。
その後は特に変わったところもなく、帰宅するとハム子さんは予想通り、日常に戻りました。自宅のトイレや自室もちゃんと憶えていたので、私達はホッとしました。混乱は一時的なものだったようです。
ちなみに、姉の家では毎回トイレの場所がわからず、姉の夫が夜間もトイレに案内してくれたとのこと。3泊もしたのに!ハム子さんは以前にも遊びに行っているので、わかった上で受け入れてくれています。本当にありがたいことです。

次回は、秋のカーディガンをプレゼントしたときの話

こうして見ると、カーディガンのことばかり書いているような気がしますが、次回もカーディガンの話を書きますね。忘れてしまうハム子さんならではの出来事です。

読んでくださり、ありがとうございました!次回もお付き合いいただけるとうれしいです。

タイトルとURLをコピーしました