〈2〉認知症の母とのお試し同居後半——やっぱり記憶が残らない日々

介護日記

東京から私の実母ハム子さんを呼び寄せ、1ヶ月のお試し同居を始めた私と夫。
お互い大丈夫そうなら、引っ越して同居を始める予定です。
今言ったこともやったことも忘れてしまうハム子さん。
夜な夜な居間を模様替えしていたのが前回の話でした。

認知症の母の生活音問題——ドアをバタン、廊下をドスドス

最初のうちハム子さんは、トイレに行こうとして押し入れを開けたりしていましたが、すぐに迷わず行けるようになりました。
居間から出ると、目の前がトイレだから、探さずに済みます。

問題は、ドアを閉めたり歩いたりする生活音がやたら大きいこと。
バタン!とドアを閉め、ドスドス歩く音が響きます。
妹との住居も、父と二人暮らしだった時も、そういえば1階でした。
「ここは団地の5階だからね」
との説明に
「わかった、ごめん」
などと答えますが、やっぱり忘れます。

事前に下の階の方に挨拶していたとはいえ、これは迷惑なのでは…。
妹は、普段はそれほど音を立てていないと言います。
不安から、私はここにいるよ!と無意識に伝えようとしている音なんでしょうか?
わかりませんが…。

ドアには隙間テープのような緩衝材を貼りましたが、上から下まで貼ると、今度はドアが閉まりません。
小さく切って数ヶ所貼りましたが、気休め程度です。
床の方は、何か敷くとつまずくなどの危険性があるので、断念しました。

トイレに行く時に
「ドアは静かに閉めてね」
と言ったところで、出る頃には忘れています
夫は
「しゃーないんちゃう?高齢者がいるってわかってるから、下の階の人も大目に見てくれるやろ」
と…。
受け入れる夫、何とかコントロールしようとする私、の構図は現在も変わりません。

車に乗る前、記憶がリセット——焼き物もココアも記憶にない

紅葉の景色を見せてあげたかったので、よく一緒にドライブに行きました。
一度、立杭陶の郷(たちくいすえのさと)に行った時のこと。
二人で焼き物の展示や販売をゆっくり見て回りました。

「これきれいね」「これは10万円だって!」
と、ハム子さんもあれこれ見て楽しそう。
最後にレストランでハム子さんは黒豆ココア、私は黒豆コーヒーをいただいて、大満足の時間を過ごしました。

レストランから出て、景色を楽しみながら駐車場に向かって歩きます。
「焼き物が色々見られて面白かったね」
と言うと、
焼き物見たっけ?
という答えが。
「ちょっと待って、ココア飲んだことは覚えてるよね?」
「飲んだのかな?覚えてない」
…さすがに呆然としました。

「何なら、ココアの味が残ってるでしょ?さっき飲んだんだから」
わかんない
…今の数時間は一体…。
楽しい時間を一緒に過ごしたことには変わりないんだから、それで良いじゃないか。
良いじゃないか。
と自分に言い聞かせながら、帰り道はドッと疲れていました。

認知症で記憶は残っていなくても、楽しい感情は残っていると言います。
「楽しかったね」と共有できなくても、自分は覚えてる訳だし、ご機嫌でいてくれたらそれで良い…。
と、頭では考えるものの、きれいに何も残っていないのを目の当たりにすると、切なくなるものですね。

お試し同居を終えて——2ヶ月後に本格同居へ

1ヶ月が過ぎ、家族と相談の末、ハム子さんと私達夫婦は、実際に同居することになりました。
さぁ、引っ越しです!
次回は同居スタートまでの話をお届けしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回もお付き合いいただけたら嬉しいです。

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